杉浦奈実
熊本大学は1日、同大の准教授が出した論文について、本来引用するべき先行研究を無視するという研究上の不正行為があったと発表した。大学は准教授に論文を取り下げるよう勧告。准教授本人の処分について今後検討するとしている。
先行研究について不適切な扱いがあったと大学が認定したのは、大学院人文社会科学研究部の准教授が2022年に国内の学術誌に発表した歴史学の論文。23年3月に学外から告発があり、大学は外部識者3人を入れた調査委員会を設け、調べていた。
先行研究と指摘されたのは准教授が過去に指導した学生が書いた類似テーマの論文で、准教授の論文との比較や関係者の聞き取りを行った調査委の調査結果を踏まえ、大学は、准教授について、認識していたはずの先行研究の存在を無視したことが「著しく研究作法・研究倫理に反した」として、研究活動上の不正行為である「先行研究の不適切な扱い」と認定した。
准教授は、調査委の聞き取りに対し、「先行研究と自分の研究とは違う」と述べたが、異議申し立てはしなかったという。
小川久雄学長は、「誠に遺憾で、関係者にご迷惑とご心配をおかけし、深くおわび申し上げる。再発防止と信頼回復に向けた努力を精いっぱい行う」とのコメントを出した。(杉浦奈実)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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