凶悪犯は身近にいる「テッド・バンディ」監督が警鐘(日刊スポーツ)

2019年に全米で4人以上が犠牲になった「大規模殺人事件」は、年間発生件数で1970年代以降、最多の41件発生した。その米国で、シリアルキラー(連続殺人犯)の語源にもなった殺人犯を描いた映画「テッド・バンディ」が製作され日本でも公開されている。このほど、ジョー・バリンジャー監督(58)が来日。日刊スポーツの取材に応じ、京都アニメーション放火事件など凶悪事件が増える日本の現状を憂えた。

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世界の総人口のうち連続殺人犯の割合は5%で、うち67%は米国に住み、過去1世紀半で2743人に上る。AP通信とUSAトゥデーらの共同集計によると、米国で19年に発生した41件中33件は銃の乱射事件だった。犯人以外の死者は211人で、史上最多の死者を出したラスベガスの銃乱射事件が発生した17年の224人に次ぐ多さだった。

大規模殺人が社会問題になっている米国の犯罪史に残る殺人犯が、70年代に30人以上の女性を殺害したとされるテッド・バンディだ。高学歴のイケメン。魅了された30人以上の女性を次々に惨殺しながら、周囲からは殺人犯とは見られず、捜査の目を逃れ続けた。20年にわたり犯罪取材を続けるジャーナリストでもあるバリンジャー監督は、バンディのドキュメンタリーも制作してきたが、今回は唯一、殺されなかった恋人の視点から映画を作った。

監督は「連続殺人鬼は自分たちからかけ離れた別ものと思い込みがちだが、人間の行動は程度の差こそあれ同じ一線上にある」と指摘。「兄弟、知人の中に凶悪犯罪をなし得る人間がいると認知することが重要」と訴えた。日本には「個人より社会が必要なものを先、上に見る国、とても平和な社会」という認識を抱いてきたが、昨年の京都アニメーション放火殺人事件を知り衝撃を受けたという。

監督 現代は、人が自分の欲求をむき出しに出来る不健康なものになっている。すごく矛盾を抱えた社会だ。米国は個人を社会より重視するから自由だが完全に分断されている。日本は、そこまで分断されてはいないと思うが、驚きだ。

凶悪事件が発生する温床として「バイオレンスな表現が氾濫している。子どもでも検索すれば簡単に、無料で見ることができ、感覚がマヒしてしまっている。無責任でセンセーショナルな報道もある」と指摘。その上で「社会的に病がはびこっているような印象を抱いている」と警鐘を鳴らした。【村上幸将】

◆テッド・バンディ事件 1974年に米シアトルで若い女性が失踪し、頭を鈍器で殴られ首を切断されるなどした遺体が発見された。ユタ州でも同様の事件が発生し75年、ユタ大ロースクール学生のバンディが逮捕。バンディは自ら弁護を務めるからと一定の自由を得ては脱走も、78年にフロリダ州で再び女性の殺害容疑で逮捕。裁判は79年7月、公開で開かれて死刑宣告。74年から78年に30人の女性を殺害したと自白し数日後の89年1月24日に死刑が執行され生中継された。映画では米俳優ザック・エフロンがバンディを演じた。

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Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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