加治隼人、福井万穂
国税庁が1日に発表した2021年分の路線価(1月1日時点)は、新型コロナウイルスにより観光業に大逆風が吹く沖縄で顕著に影響が表れた。
県内の最高路線価は、那覇市久茂地3丁目の国際通りで、1平方メートルあたり143万円。昨年は40・8%も上昇したが、今年は1・4%のマイナスと10年ぶりに下落に転じた。人気観光地の宮古島市・西里大通りは0%(前年プラス45・8%)と横ばい、石垣市の市役所通りはマイナス3・3%(同11・1%)と下落した。
県内の平均変動率は1・6%の上昇を維持したが、前年(プラス10・5%)との変動幅は全国最悪のマイナス8・9ポイントとなり、これまでの勢いに急ブレーキがかかった格好だ。
沖縄は近年、観光業が絶好調だった。入域観光客数は2018年度に初めて1千万人を超えるなど、6年連続で過去最多を更新してきた。しかしコロナ禍の直撃を受け、県の統計によると2020年度の入域観光客数は約258万4千人と前年度より72・7%も減少。各地で土産物店や海外客向けの免税店の閉店が相次ぐ。
不動産鑑定士の浜元毅さん(56)は、「観光に頼った産業構造ということもあり、コロナでこれまでの勢いが急停止した。過熱していたホテルや商業施設の不動産取引が止まっている」と分析する。
消えた三線の音色
沖縄はなかなか感染拡大が収まらず、現在も全国で唯一、緊急事態宣言が継続中だ。影響は経済全体に広がっている。
国際通りを歩くと、閉店やテ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル