福岡県中間市の私立の認可保育園「双葉保育園」で、倉掛冬生(とうま)ちゃん(5)が送迎バスに閉じ込められて死亡した事故で、バス乗車時に園児の出欠などを確認する「バスカード」を、冬生ちゃんが乗ったバスでは回収していなかったことがわかった。このバスは園長1人で運行することが多く、日頃から回収していなかったとみられる。県警は出欠の確認がおろそかになっていた可能性があるとみて調べている。
冬生ちゃんは7月29日、登園時に乗った送迎バスの中に取り残され、熱中症で死亡した。運転していた園長は降車後に車内を十分に確認せず、冬生ちゃんが残っていることに気づかないままバスを施錠していた。
保護者や園の弁護士らによると、バスカードは子どもの起床時間や健康状態などを記入した用紙で、バスに乗る際は保護者が職員に渡して出欠を確認するしくみになっていた。しかし、29日朝のバスは園長が運転し、同乗の職員はおらず、冬生ちゃんら7人の園児のカードを乗車時に回収していなかったという。
登園後、担任は冬生ちゃんがいないことに気づいたが、バスカードも届いていなかったため、バスに乗ったことに気づかず欠席と思い込んでいた。親への確認の連絡もしていなかった。
保護者らによると、園長は31日の保護者説明会で、登園時のバスではカードを回収せず、園児のかばんに入れたまま乗車させることがあったことを認めた。「(カードを)回収していれば、冬生ちゃんの命が失われることはなかった。私の責任です」とも述べたという。バスを1人で運行していたことについては、「午前7時台に出勤できる職員が限られていた」と話したという。
県警は1日、業務上過失致死の疑いで園を家宅捜索した。県警によると、捜査員12人が園に立ち入り、園長の立ち会いのもとで約3時間、送迎シフトを含む勤務態勢などのファイルや、危機管理に関するマニュアルなど63点を押収した。園の運営や安全管理体制に問題がなかったかを調べる。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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