「ヒナタ、泣いてる!」。昨年9月末、大阪府堺市美原区の府立農芸高校。酪農専攻2年の生徒有志でつくる「Loveand(アンド)Beef(ビーフ)」のメンバー6人は、100日間世話したホルスタイン種の雌牛を取り囲んでいた。出荷のトラックを待つ「別れの日」だった。
ヒナタは両方の目頭から涙をこぼしていた。牛が泣くなんて知らなかった。何の涙かもわからなかった。だが、こらえてきた寂しさは一気にあふれ出した。生徒たちはもらい泣きした。
リーダーの田間鈴音(たますずね)さん(17)たちによるヒナタの世話は、昨年6月に始まった。2018年を最後に妊娠しなくなったヒナタは乳が少なくなり、食肉に回される予定だった。
経産牛は価値が低いとされる。そこに疑問を持った農芸高資源動物科の土肥正毅(どひまさき)教諭(43)が生徒たちに「ヒナタの価値を上げてみよう」と呼びかけた。
拡大する出荷直前のヒナタと撮った記念写真。リラックスした様子のヒナタが、このあと涙を流した=2020年9月27日、大阪府堺市美原区の府立農芸高、同校提供
搾乳を続けつつ、834キロの…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル