三木一哉
北海道南部のスルメイカ漁が6月から解禁され、2日朝、北海道函館市の函館漁港で初水揚げがあった。帰港した船から生きたイカが次々と運び出された。
近年の不漁続きに、新型コロナウイルスの影響による価格の低迷も加わって、苦いスタートとなった。
解禁日の1日に出漁したのは15隻。青森県の小泊沖で操業して未明に戻ってきた若松淳一さん(63)は「全体的に小さいのが気になった。漁は昨年よりましだが、新型コロナの影響で買い手がつかず、価格は厳しくなるだろう」と語った。
市水産物地方卸売市場では生きたまま入荷した「いけすイカ」860キロがせりにかけられた。せり落とされた価格は1キロ1600~1650円で、昨年の2千~2200円より約2割安かった。
卸売業者、函館魚市場の平松伸孝・営業一部長は「飲食店向けの需要は落ち込み、スルメイカも12~13センチと小さい。価格が安くても、漁獲が上がれば漁師の収入は上がるので、せめてこの調子でとれたらいいのだが」と期待する。
5月28日に函館水産試験場が発表した調査結果では津軽海峡周辺から秋田県沖にかけての日本海では、スルメイカの分布は「非常に低密度」という。5カ所の調査点の平均数値は2019年に次いで低く、過去5年間の平均を下回る低い数値だった。調査で漁獲されたスルメイカの体長は11~15センチ。「昨年並みだが、過去5年平均よりは小さいものが多い」という。
市企画調整課によると、同市場が扱ったスルメイカはピークの1996年度には年間1万7132トンに達したが、近年低迷が続いており、最低だった昨年度は436トンに落ち込んだ。(三木一哉)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル