北海道南部の函館市など2市15町で路線バスを一手に運行する「函館バス」から不当な懲戒解雇や配置転換をされたとして、労働組合・私鉄総連函館バス支部の大岩伸一書記長と組合員4人が同社と森健二社長を相手取り、地位確認や損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、函館地裁であった。五十嵐浩介裁判長は、同社の人事措置は組合活動を侵害する「不当労働行為」にあたると認定。同社と森社長に慰謝料計605万円の支払いを命じた。
弁護団は「社長の賠償責任を認めたのは異例で、画期的な判決」と評価した。同社の労使紛争を巡っては、札幌高裁が8月、同支部の執行委員長に対する雇い止めは無効だとする判決を出している。
今回の判決によると、大岩書記長は組合の活動を行うための「組合休暇」を組合員らに取らせたなどとして解雇された。また、組合員4人は遠隔地への配置転換を拒否したことなどを理由に、解雇されたり退職を余儀なくされたりした。
判決は、組合休暇を取らせたことは労組の正当な行為であり、これを理由にした解雇は不当労働行為だと判断。同社は書記長の解雇によって労組の弱体化を狙った「支配介入」にあたるとも言及した。
また、組合員4人の配置転換は労使協議を経ておらず無効であり、会社に不利な行動をとった者の配置転換を示すことで、他の組合員の脱退を誘引しようとしたと指摘。係争中に解雇されたことを重くみて、「報復的不利益取り扱い」にあたると判断した。
その上で判決は、森社長は「悪意または重過失により」会社が不当労働行為を行わないように監督する義務を怠ったとして、損害賠償責任があると結論づけた。
判決後の記者会見で、大岩書記長は「労組に残ることが本当にリスクがある中でがんばった成果だ」と喜んだ。
函館バスは「担当者がいないため答えられない」としている。(野田一郎)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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