切り売りされる「素の自分」 リアリティー番組の危うさ

 フジテレビの恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラーの木村花さん(22)が23日に死去した。生前、SNSで自身に向けられる批判に悩んでいたと示唆する書き込みをしたとみられている。ネット上の誹謗(ひぼう)中傷が問題化する中で、出演者が実名で自身をさらす番組の危うさを指摘する声もあがっている。

 同番組は、シェアハウスで生活する男女6人の恋愛模様を観察する番組。木村さんが参加していた最新シリーズは、昨年5月からネットフリックスによって約190カ国・地域で先行配信された。海外でも人気で、訃報(ふほう)は英BBCなどのニュースサイトでも報じられた。

 23日未明、木村さんのものとみられるSNSのアカウントは、「毎日100件近く率直な意見。傷付いたのは否定できなかったから」「愛されたかった人生でした。側(そば)で支えてくれたみんなありがとう。大好きです。弱い私でごめんなさい」などとつづっていた(投稿は現在削除)。捜査関係者によると、自宅内には遺書のようなものも残されており、警視庁は自殺とみて調べている。

 「プロレスを皆に知ってほしい」と番組に参加したという木村さんに対するネット上の中傷が激化したのは今年3月。木村さんが愛用するプロレスのコスチュームを過って破損した男性を怒ったシーンが配信されたことだった。それ以降、「ひどすぎてあぜん」「観(み)てて不快」といった匿名の批判コメントが増えた。

 今回の問題が起きたことで、リアリティー番組の危うさを指摘する声もあがっている。米国では2004~16年の間に、同国内のリアリティー番組に出演した人のうち少なくとも21人が自殺したと報じられた。芸能界に詳しいライターの松谷創一郎さんは「リアリティー番組は出演者の人格をコンテンツとして切り売りする。駆け出しのタレントが衆目にさらされる覚悟をどれだけもっているとしても、現場に置かれて初めて直面するつらさがある」と話す。

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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