初めての大学入学共通テストが16日、始まった。コロナ禍で11都府県に緊急事態宣言が出るなか、初日は地理歴史、公民、国語、外国語の4教科があり、最も受験者が多い外国語は約47万7千人が受けた。昨年の大学入試センター試験に比べて複数の資料を読み解く問題が多く、問題のページ数が増えた教科が目立った。
試験日は16、17日の第1日程と、コロナ禍で授業が遅れた現役生が選択できる30、31日の第2日程が設けられた。全体の志願者は53万5245人で、昨年のセンター試験より2万2454人(4・0%)減った。
このうち今春卒業見込みの現役生は44万9795人で昨年度比0・5%の減、浪人生は8万1007人で同19・3%の減だった。浪人生が大幅に減ったのは、昨年度の現役生が、新しい共通テストを避けてセンター試験を受ける傾向にあったためとみられている。全体の卒業見込み者に占める共通テスト志願者の割合(現役志願率)は44・3%だった。
大学入試センターによると、北海道稚内市の稚内北星学園大学では、暴風雪のため16日の全教科が中止となり、73人が30日に再試験となった。センターは「受験生の安全のため」と説明。1日分の全教科が再試験となるのは、1979年に始まった共通1次試験とその後のセンター試験でも例がなく、史上初めて。17日は試験を行う予定。また、北海道苫小牧市の会場で、公民の「政治・経済」を受験予定だった視覚障害がある受験生に別の問題を誤配布するなど、2会場で計2人が30日に再試験となったほか、3会場で計5人が繰り下げ受験となった。英語のリスニングでは、停電や受験生の携帯電話とみられるアラーム音などの影響で、全国で計163人が試験を途中からやり直す「再開テスト」を受けた。
共通テストは31年続いたセンター試験の後継。同じく全問マークシート方式だが、大学入試改革の一環で思考力・判断力・表現力がより試される。問題の内容も変わり、英語のリスニングはセンター試験に比べて配点が50点から100点に倍増。ほかの教科でも複数の資料を読み解く問題が出され、ページ数は地理歴史が14ページ、公民18ページ、英語のリーディング(筆記)が6ページ、リスニングが10ページ、それぞれ増えた。国語は2ページ減った。
センターの作問担当者は昨年のセンター試験と比べた4教科の難易度について「全体的に問題の分量が増え難しくなったとみえるかもしれない。ただ実際は解答データを分析しなければ分からない」と述べた。
共通テストを利用する大学・専門職大学・短期大学は計866大学で、昨年度より8大学増えて過去最多となった。
センターによると、東京都と神戸市、茨城県で受験した計5人が63分~125分の繰り下げ受験となった。東京都と神戸市の計2人は地理歴史・公民を2科目受ける必要があったが試験官に「1科目受験」と伝え、監督者も受験票を確認せず、試験開始後に発覚した。茨城県の3人は、JR常磐線で遅延があり、外国語の試験開始時間に間に合わなかったという。(伊藤和行)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル