新型コロナ対応の「まん延防止等重点措置」の対象に、18道府県が25日、追加された。そのうちのひとつ、島根県は今回が重点措置の初適用。積極的な疫学調査で感染者数を全国の中でも少ない水準に保ってきたが、変異株「オミクロン株」の広がりで保健所業務が逼迫(ひっぱく)。医療体制にも影響が出かねない状況となり、措置要請へと追い込まれた。
県内では昨年12月28日、25日ぶりに感染者が確認されると、年明けに感染が急拡大。1月13日には過去最多の101人を記録した。その後も感染拡大は収まらず、25日現在で自宅・宿泊療養者は1千人を超えた。
県感染症対策室は、先行して感染が広がった山口県や広島県と隣接し、交流が多いことや、年末年始の帰省が要因と分析。当初は県西部の浜田市や益田市などが中心だったが、県内全域に感染が広がったとみる。
島根県はこれまで、濃厚接触者以外にも幅広く検査をすることで、感染拡大を食い止めてきた。丸山達也知事は昨年9月、「感染拡大地域では時短・休業要請をして、そこにお金を払うというやり方をしているが、島根県内では必要ない」と話し、重点措置などに否定的な考えを表明。飲食店を利用する際の人数や時間制限を呼びかけることで対応できるとしていた。
しかし、感染急拡大で保健所業務が一気に逼迫。県は各保健所に職員を派遣するなど、人員を増員して対応してきたが、感染経路や濃厚接触者を調べるための疫学調査が追いつかなくなった。丸山達也知事は適用検討を明らかにした19日の会見で「(重点措置に)感染を終息させるだけのパワーがあるとは思わないが、一定程度の効果はある」と話し、理解を求めた。
一方、隣の鳥取県は現時点では申請しない予定。平井伸治知事は「県内では飲食店街よりむしろ、学校、学習塾など子どもたちの感染の方が目立つ」と話し、飲食店対策が中心の重点措置は必要ないとの考えだ。
25日に初めて新規感染者が100人を超えるなど、鳥取県でも感染者は急増。県は感染者が急激に増えた県西部の観光・建築・農業改良普及などの部署で働く県職員を、最大100人規模で保健所へ派遣。「積極的疫学調査」を徹底し続けている。平井知事は「感染を囲い込んで(連鎖を)止めていく。諦め悪く戦う」と話している。(清水優志、東孝司)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル