2020年元日午前0時、太陽は水平線の上に輝く。ほんのりあかね色に染まる海氷のかなた、アデリーペンギンがゴマ粒のようだ。「これ、初日の出?」「でも、出っぱなしだから違うかなあ」
南極は一日中、太陽が沈まない白夜の夏だ。日没もなければ日の出もない。そんな会話を「しらせ」船上で交わしながら、私たち61次隊は新年を迎えた。
年末に昭和基地入りしたのに船に舞い戻った。新しく来た隊は船上で年越しするのが恒例だ。昭和基地の主は60次越冬隊で食堂や通信室がある主要部を使い、居住棟の個室に住む。新しい61次隊は、食料など物資の輸送もまだで、正月祝いはしらせのお世話になる。門松が飾られ、鏡開きに獅子舞も登場。おせちはエビにカニ、だて巻き、栗きんとん……。好きなものでおなかいっぱいだ。南極でも、いや南極生活だからこそ、忘れがちな季節の行事は大事だと感じる。
年賀状代わりにペンギンの写真付きでツイッターを投稿した。へんてこな姿にアクセスは急上昇し、最終的に300万超! 大反響。記事ではペンギンにかなわないな。
2日、今度こそ昭和基地へ引…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル