刺繡になった中村哲医師 「L」に込めた制作者の思い

 アフガニスタンで人道支援に取り組み、凶弾に倒れた医師、中村哲さん(享年73)をデザインした刺繡(ししゅう)を、福岡市の刺繡アーティストの女性が制作した。中村さんが銃撃された時、女性はアフガニスタンの隣国、タジキスタンにいた。縁を感じ、「刺繡で誰かのためになれたら」という思いを込めた。

 制作したのは、福岡市の二宮佐和子さん(40)。大分県出身で福岡で育ち、8年ほど前から刺繡アーティストとして活動。もともとはグラフィックデザイナーだったが、自分の絵を服に刺繡すれば「絵を着ていろんな所に歩いていってもらえる」と思いつき、自己流で始めた。

 2015年から大手通販会社と一緒に、インドの女性たちに刺繡を教える活動を始めた。農家の女性が仕事がない時期にも収入が得られるようにするためだ。その縁で国際協力機構(JICA)のプロジェクトにも参加。アフガニスタンやタジキスタンの人々の生活改善のため、刺繡や織物など現地の手仕事を生かした産業創出を担っている。

アルファベットと人物を掛け合わせ

 中村さんが亡くなった19年12月4日、プロジェクトの一環でタジキスタンにいた。工房を見ていたとき、案内役のJICA職員に電話がかかってきた。中村さんが銃撃されたことを知らされ、職員は動揺した様子だった。

 その前日、職員から「アフガニスタンには中村さんという医師がいて、福岡市に事務所があるので年明けにでも行きましょう」と言われたばかりだった。

 数日後、日本に帰ってくるとニ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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