昨年10月の衆院選で、候補者届け出前に自身への投票を呼びかける文書を不特定多数の有権者に配ったとして、公職選挙法違反罪に問われた日本維新の会の衆院議員、前川清成被告(59)の公判が13日、奈良地裁であった。検察側は罰金30万円を求刑し、弁護側は無罪を主張して結審した。判決は来年1月18日。
前川議員は昨年10月14日、奈良市内で「選挙区は『前川きよしげ』、比例区は『維新』とお書き下さい」と記したはがきや「例 前川さんへぜひ一票をお願いします」などと書いた文書の入った封書を35カ所に送り、届け出前に投票を呼びかける選挙運動をしたなどとして在宅起訴された。
前川議員が送ったはがきは、「推薦はがき」と呼ばれるもの。候補者が公示前にはがきを送り、送り先に知人の宛名を書いてもらい返送してもらって、候補者届け出後に発送する。
公判では、前川議員の行為が届け出前の選挙運動にあたるかなどが争われた。
検察側は論告で、前川議員の母校の卒業生名簿をもとに、支持を明確にしている人以外の不特定多数にはがきを送っているため、選挙運動にあたると主張。はがきの「選挙区は『前川きよしげ』」の文言などから、投票依頼の行為だとした。
これに対し、弁護側は、名簿をもとにしているものの、これまでに送付を望まない人を除外するなど「支援を期待できる人」に送付していると反論。はがきの宛名書きなどを依頼したのであり、投票依頼の目的はなかったとして、許容される準備行為だと主張した。
これまでの公判では、はがきを作成した業者、はがきを受け取った母校の卒業生、校友会会長らの証人尋問もあった。
前川議員は2004年から旧民主党などで参院議員として2期12年務め、19年に奈良県知事選に出馬して落選。昨年10月の衆院選に奈良1区から出馬し、小選挙区では敗れたものの、比例近畿ブロックで復活当選を果たした。(渡辺七海)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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