モスクワ=石橋亮介
国際宇宙ステーション(ISS)に滞在していた、衣料品通販サイト運営会社「ZOZO」の創業者で実業家の前沢友作さん(46)が20日午前(日本時間正午過ぎ)、ロシアのソユーズ宇宙船でカザフスタンの草原地帯に着陸した。日本の民間人として初めてISSに滞在し、12日ぶりの帰還となった。
前沢さんは日本時間の19日夜、「あっという間の宇宙での12日間でした。このあと宇宙服に着替えてソユーズ宇宙船に乗り込みます」とツイート。ソユーズ宇宙船はその後、同20日午前9時前にISSから切り離されて大気圏に突入し、最後はパラシュートで地上に着いた。
前沢さんは今月8日、自身の関連会社役員の平野陽三さん(36)と共にソユーズ宇宙船に搭乗し、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地を出発。ISSに到着すると「宇宙なう」とツイートし、その後も、無重力での歯磨きやトイレの様子、宇宙飛行士とのバドミントンなどの様子をユーチューブで次々と公開した。19日には応募者全員に500円~100万円を配る「宇宙からのお金配り」も行い、ネット上のファンらを沸かせた。
今回の宇宙旅行に、前沢さんは平野さんの分と合わせて100億円前後の費用を自己負担していることを明らかにしている。米国では電気自動車のテスラを創業したイーロン・マスク氏が率いるスペースXや、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が立ち上げたブルーオリジンなどの宇宙企業が次々と富豪の宇宙旅行を実現させており、ロシアもライバル心を募らせている。
ロシアの宇宙機関ロスコスモスのロゴジン総裁は、前沢さんらを乗せたソユーズ宇宙船を打ち上げた8日、「(打ち上げ成功は)有人飛行に関するロシアの競争力の証明だ。ロスコスモスの資金の観点からも非常に重要だ」と述べ、今後の宇宙旅行ビジネスの拡大に期待を示した。(モスクワ=石橋亮介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル