能登半島を震源とする地震は、半島の付け根に近い金沢市の墓地にも深い爪痕を残している。
市営の奥卯辰山墓地公園では、震度5強の地震で長さ20メートル以上にわたって地滑りが発生し、墓地群が崩落した。市民課によると、余震が続いているため、具体的な数は確定していないが、被害は50~70基に及ぶという。別の場所でも墓石が多数ひっくり返った。
墓地公園は、卯辰山の東側の丘陵地にある。市は地滑りが起きた一帯を立ち入り禁止にして、所有者への連絡に追われている。担当者は「地震でこれだけの被害を受けたのは記憶にない」と話した。「現在地で復旧できるのかどうか。地震が落ちついたら対策を立てたい」
市営の野田山墓地にある国史跡の前田家墓所も被害を受けた。初代の利家公から17代目まで歴代の加賀藩主、当主のほか、正室や家臣らの墳墓が計84基ある。
利家公の墳墓は土を方形に3段重ねたピラミッド状で、一辺の長さは約19メートル。今回の地震で墳墓や墓標の損傷はなかったが、玉垣(石造りの柵)の一部が崩れた。石灯籠(どうろう)の一部も倒れてバラバラになった。他の墳墓でも同様の被害が出ているという。
市文化財保護課の担当者は「2009年に国史跡になって初めての大きな災害。前田家とも相談しつつ早急に元の姿に戻せれば」と話した。(樫村伸哉)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル