前田敦子さんと三島有紀子監督 2人で語り合ったそれぞれの「再生」

 東京・八丈島などを舞台にした映画「一月の声に歓(よろこ)びを刻め」が9日から全国公開される。幼少期に受けた性暴力をモチーフに脚本を書いた三島有紀子監督と主人公を演じた俳優の前田敦子さん(32)が「再生」をテーマに語り合った。

性暴力受けた過去からの「再生」

 ――三島監督と前田さんにとって、この作品とは。

 三島 6歳のときに性暴力を受けていますが、なぜか、自分の肉体が汚れたと感じました。そのとき私は、映画館に通うことで救われました。映画は、人間は誰もが美しい存在で、誰も汚すことはできないんだと教えてくれ、そこから新しい人生が始まりました。

 別作品の下見で故郷に行ったとき、性暴力を受けた場所をたまたま見てしまったんです。そのとき、プロデューサーに「ここで性暴力を受けた」と淡々と話せました。あの忌まわしい出来事をモチーフにした作品をつくる時期が、タイミングがついに来たんだと感じました。映画に登場する「(性暴力を受けた経験を持つ)れいこ」が再生してほしいという気持ちでつくりました。

 前田 こうした題材の作品に参加することは人生でも一度あるかないか。深い部分で向き合えないと失礼に当たるなと感じ、出演依頼を受けてから1カ月、悩みました。それでも三島監督のパーソナルな部分を描いた作品にかかわれる、これを一生の縁にしたいと思って参加しました。

14歳で止まった自分に追いつくため…

 ――前田さんはAKB48を「卒業」して、まもなく12年。人生で生まれ変わったという実感は。

 前田 アイドルとして過ごした7年で、普通の人が通る過程を経ないまま20歳を過ぎていました。金銭感覚も一瞬ずれて、水道代の払い方もわからず、恋愛もしないまま大人になってしまいました。

 だからAKB48を卒業する…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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