増田洋一
秋田県仙北市に本拠を置き、国内外で活動してきた劇団「わらび座」が2日、秋田地裁から民事再生手続きの開始決定を受けた。コロナ禍の長期化に伴う経営悪化が原因で負債総額は14億4600万円。今後は、新しい非営利法人「わらび座」が、35人の役者を含む社員や、事業を承継し、再生を図りながら活動を続ける。システムソフト社(東京都)の支援も受ける。
再生のために今後、企業に寄付金を募るほか、施設の命名権、冠作品、広告への協賛、法人年間シート契約などを要請する。クラウドファンディングも12月に設ける予定だ。
わらび座は1951年に東京で前身が創設され、その後、秋田に移り、わらび座となった。民話などをテーマに、コロナ禍前は全国公演が年間約800回に及んだ。地方を拠点にした本格的な演劇活動は全国的にも珍しく、評価を受けてきた。仙北市にある劇場の隣で宿泊施設も営み、中学校を中心に年間約150校の生徒を観劇、宿泊に受け入れていた。
企業に協賛を呼びかける新法人の支援組織もあり、会長の三浦廣巳氏(秋田商工会議所会頭)は「わらび座の70年間の活動は秋田の財産であり宝である」と、存続の必要性を強調した。(増田洋一)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル