政府の文化イベント自粛要請を受け、公演の中止や延期をしてきた東京都内の大劇場などが20日、相次いで上演を再開した。だが急きょ、この日の夜の公演中止を発表する劇場もあるなど対応は割れた。前例のない事態にどう対応するべきなのか。興行主たちの葛藤が続いている。
20日昼すぎ、東京・渋谷のパルコ劇場では、渡辺謙さん主演の舞台「ピサロ」が7日遅れで開幕した。1月に新装開場して以来、初めての演劇公演となる注目のステージで、本来ならば636席が満席になるはずだが、この日に埋まったのは半分程度だった。観客は、互いに間をあけて席に座った。
会場内には消毒液が設置され、一人一人にサーモグラフィーを使った検温も。入場時にチケットの半券は観客が希望すれば自らもぎれるようにした。看護師を劇場に常駐させたほか、トイレなどの混雑を防ぐために休憩時間を15分から25分に延長。その間は扉を開放して一斉に換気を行った。
新潟県から来た40代女性は、「新型コロナを気にして見られずに悔しい思いをしている人もいると思う。素直には喜べない」と複雑な表情を浮かべた。
東京・有楽町の東京国際フォーラムでも、ホリプロ企画制作のミュージカル「サンセット大通り」が6日遅れで開幕した。劇場ロビーでの飲食物の販売をとりやめ、喫煙室も閉鎖したほか、当日券は席の間隔をあけて販売。マスクの着用を促し、休憩中には観客同士の会話をできる限り控えるようアナウンスで呼びかけた。
昼公演に主演した安蘭けいさん(濱田めぐみさんとのダブルキャスト)はカーテンコールで、「稽古しても(公演全体が中止で)お客様に見てもらえないカンパニーもあった中、きちんとマスクをして、気をつけて来て下さったみなさんのおかげで初日を迎えられました。私たちはお客様がいらっしゃることで成り立つ仕事です」とお礼の言葉を述べた。
この日は東宝もシアタークリエのミュージカル「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」の昼公演などで上演を再開。19日には、TBS赤坂ACTシアターで、劇団☆新感線の公演「偽義経冥界歌」も22日ぶりに再開された。
ある演劇関係者によると「公演…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル