石垣明真
長年住み込みで働いていた牧場(北海道恵庭市)で虐待されていたとして、知的障害のある男性3人が、牧場の経営者家族と市に損害賠償計約9400万円の支払いを求めた訴訟の口頭弁論が12日、札幌地裁(布施雄士裁判長)であった。経営者家族の2人が、原告側の訴えに対する認識を明らかにした。
訴状によると、原告の3人はいずれも60代の男性で、同市の「遠藤牧場」に住み込んで働いていたが、賃金は支払われていなかった。原告側は、3人は牧場内のプレハブ小屋の個室で生活していたが、小屋に水道はなく、暖房は1部屋にしかなかったと主張。食事がレトルトカレーなどの「かなり質素なもの」だったとするほか、3人の障害年金が搾取されていたともしている。
12日の口頭弁論で、経営者だった遠藤昭雄氏(故人)の妻・栄子氏と息子の護氏の2人が、原告の訴えに対する認識を明らかにした。
地裁に提出した回答書によると、2人は、原告3人の労働に対する対価について「報酬としてはないが、ジュースなどの提供をしていた」と説明。栄子氏は、「賃金に関する全てを主人(昭雄氏)に任せていた。亡くなってからも、そのまま主人のやり方を継続していた」とする認識を示した。
2人はこのほか、どの部屋にも水道がなかった一方で、3人の部屋全てに暖房はあったとした。食事については、母屋で調理した食事を提供するなどしていたという。だが、その具体的な内容は明らかにしなかった。
金銭管理は、栄子氏が担当していたと説明した。3人の通帳を管理し、昭雄氏と相談のうえ現金の引き出しも行っていたという。そのお金は3人の生活費などに使っていたとしている。護氏は「両親が管理していたので、分かりません」とした。(石垣明真)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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