労働現場の安全の常識、学校にも 「かかりつけエンジニア」の提案

有料記事

聞き手・寺田実穂子

 窓からの転落など、安全なはずの学校空間で児童・生徒が命を落とす痛ましい事故が繰り返されています。学校の施設や設備に潜む危険を分析した消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は学校による安全点検が十分でないとして、外部人材の活用を近く提言する見通しです。「かかりつけエンジニア」という考え方を提唱し、取り組みを始めている日本技術士会の「子どもの安全研究グループ」の瀬戸馨さんに学校の安全について聞きました。

 ――2021年以降、四つの小中学校を訪問し、主に体育館を調査したそうですね。驚いたことはありますか。

 「例えば、体育館の2階部分に壁に沿ってある通路です。建築用語では、保守点検など一時的な使用を目的とした通路『キャットウォーク』と呼びます。立ち入り禁止にしている学校もありましたが、そこはわりとルーズで、例えば試合観戦のときは上がってみているということもあるようです。本来なら、鍵付きの扉をつけて、物理的に立ち入りを制限することが望ましいです」

 ――「保守点検用」と聞くと、危険な場所という認識を持ちますね。

 「工場や建築現場では、高さが2メートル以上あれば高所になります。手すりや安全ベルトなどの安全措置をとることが義務付けられているようなところです」

 「体育館のキャットウォークには柵はありますが、転落する危険もあります。立ち入り禁止にしていても、文化祭で照明をつける時や、ボールが上がってしまって取りにいかないといけない時などがあり、ルールがなし崩し的になっているのではないかと思います」

 ――他に気になったことはありますか。

 「体育館には、エリアを二つ…

この記事は有料記事です。残り1334文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment