動かない全身は冷え切っている。雪国・長野で真冬の夜、車いすで駅前に立ち続ける。「寒いほうが、人のぬくもりを感じられるでしょ」。こぼれた笑顔のすぐ下にぶら下がる看板にはこうあった。「俺とハグか握手をして下さい」
拡大する首から看板を下げ、車いすで駅前に立つ井出今日我さん。なかなか止まってくれる人はいない。それでも目を合わせようと、一人一人を目で追う=2019年12月20日、長野県上田市のJR上田駅前、田中奏子撮影
昨年12月中旬の午後6時。井出今日(きょう)我(が)さん(29)は、地元のJR上田駅前(長野県上田市)にいた。街頭でハグ(抱擁)を呼びかける「フリーハグ」を始めたのは、ちょうど1年前。これまで上田や長野の駅前に10回ほど立ち、握手やハグをした人は170人以上にのぼる。
難病の筋ジストロフィーの男性。フリーハグを続ける理由には、日々の悔しい経験も関係しているといいます。活動を通して伝えたいこととは。
5歳のとき、全身の筋肉が徐々…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル