動き出す議論、ローカル線の廃止は「前提」か JR西の本部長に聞く

 赤字ローカル線の将来像を、国や沿線自治体、鉄道事業者らが話し合う「再構築協議会」の仕組みが10月から動き出します。JR西日本が全国に先駆けて、国に協議会設置を要請すると表明した広島・岡山の芸備線は維持されるのでしょうか。

 存廃論議の見通しや課題について、蔵原潮・JR西 中国統括本部長(常務執行役員)に聞きました。

シリーズ 線路は続くか

ローカル鉄道の問題を現場から考えます。国交相や県知事ら関係者へのインタビューもお伝えしていきます。

 ――見直し協議の要請はいつになるのですか。

 新しい法律を作っていただいた。10月に施行されて速やかに出したい。

 ――全国初のケースです。なぜ芸備線に。

 芸備線の役割は、備中神代(岡山県新見市)から備後庄原(広島県庄原市)を通って広島を結ぶ大動脈で、山陰と山陽の連絡、広島への通勤通学という三つの性格があった。この間に高速道路が整備され、一般国道も通りやすくなり、沿線も道路主体の街づくりになっている。

 少子高齢化、過疎化も進む。その結果、データを開示しているように、残念ながら利用が非常に少なくなった。我々が列車の本数を減らしてきたこともあるが、「鉄道の特性」を発揮できていない。

 ――鉄道の特性とは。

 鉄道会社は、線路や信号など様々な設備をすべて自前で整備している。列車を運転させる以外の固定費が非常に高い。多くの方に利用いただくと、1人当たりのコストは下がるが、利用いただけないと固定費が突出して高くなる。

 ローカル線であっても、お客様の多い少ないに関係なく安全を最優先するには、労力とコストが非常にかかる。単に収益だけではなく、労働力の確保も大変な状況だ。

存続か廃止か、協議はどう進むのか

 ――現状では、運行を続けるのは難しいと。

 我々はそれに近い考え方は持…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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