雪で覆われた「絶壁の山」を登った先に、今だけの絶景展望があった。関東から北の地域で最高峰の頂から眺める日光、尾瀬、谷川、浅間……。まだ深い雪に包まれた静かな世界で、名峰たちの美しい共演が見られた。
穏やかに晴れた3月25日。群馬と栃木の県境に立つ日光白根山(標高2578メートル)をめざした。
案内役は、環境省自然公園指導員の杉原勇逸さん(70)。35年にわたり、300回以上、この山に登り続ける第一人者だ。
日光白根山は幾つもの外輪山を従える活火山で、これより北に高い山がない「関東以北最高峰」として知られる。太平洋側と日本海側の中間にあることから植生が豊かで、6月にかれんな淡紫色の花を咲かせるシラネアオイは、この山に古くから群生したことで、その名がついたとされる。
「澄んだ空気の中、想像を超す絶景を見に行きましょう」と、杉原さん。
丸沼高原スキー場(群馬県片品村)のロープウェーを使って標高約2千メートルに達すると、青空を背景に荒々しい山容が現れた。白い雪の山肌から黒い岩がむき出す様が見る者を圧倒する。
雪はまだ深い。滑り止めの爪がついたアイゼンを登山靴に装着して、樹林帯の中を進む。テンの足跡があり、野鳥の声と自らの足音だけが響く。
木のそばを歩く時は注意が必要だ。表面の雪が抜け落ち、何度か腰まで雪にはまった。
絶壁の直登を避けて回り込んだが、森林限界を超えてからが勝負だ。
記事の終盤では、日光白根山の山頂から見られる絶景をオリジナル動画とともに紹介します。
樹木は消え、山頂への視界が…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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