新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて政府が短期間に集中した取り組みを呼びかけた「勝負の3週間」が16日、最終日を迎えた。しかし、新規感染者数や重症者数は開始前よりも増加。コロナ担当の西村康稔経済再生相は同日、「残念ながら減少傾向になっていない」と事実上の「敗北」を認めた。厚生労働省に助言する専門家組織が同日夜、詳しい評価結果を出す。
勝負の3週間が始まる直前1週間の新規感染者数は平均2072人だったが、期間終盤の1週間では平均2587人にまで増加した。重症者も直前1週間では平均308人だったが、期間終盤1週間では平均570人と1・8倍になり、医療の逼迫(ひっぱく)など状況は確実に悪化している。
新規感染者数は10月下旬ごろから急増。これを受け、政府の分科会は11月20日、飲食店の営業時間の短縮や「Go To事業」の運用見直しなどのより強い対策を3週間程度の短期間に集中して取り組み、感染の沈静化を図る必要があると政府に提言。同25日にも改めて提言したのを受けて、西村氏が「この3週間が勝負だ」と発言していた。
分科会の専門家らは繰り返し政府に強い対策を求めたが、対応はなかなか進まなかった。分科会は11月20日の提言で、感染状況が4段階のうち2番目に深刻な「ステージ3(感染急増)」に入りつつある都道府県を「Go To トラベル」から除外するよう求め、「政府の英断を心からお願い申し上げる」とした。その後も同25日、12月11日と強い対応を求める提言をまとめた。
しかし、「トラベル」は11月24日に札幌市と大阪市を目的地とする旅行だけが対象外に。感染拡大とともに同27日に両市を出発地とする旅行も対象外となった。
最多の感染者が出ている東京都については、12月1日になって、65歳以上の高齢者や基礎疾患がある人に対して発着する旅行を自粛するよう都が要請。14日にようやく、菅義偉首相が28日から来年1月11日の2週間全国一斉に停止すると表明した。東京都は、16日の新規感染者が過去最多となる678人に至っている。(姫野直行)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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