太平洋戦争末期、旧日本軍がつくった小型の防御用陣地「トーチカ」が北海道の根室半島沿岸にある。戦争の記憶を今に伝える貴重な遺産だが、終戦から長い期間がたち、寒冷地の厳しい気候もあって劣化が続いている。文化財として保護される対象外のため、土地開発で壊される例もあり、徐々にその姿を消しつつある。
根室半島のトーチカ群は、北太平洋のアリューシャン列島方面からの米軍の侵攻を想定し、1943年の末ごろから陸軍により整備が進められた。警備大隊長として指揮をとったのは大山柏少佐。日露戦争で満州軍総司令官を勤めた元老・大山巌の息子で、考古学者でもあった。
当時は戦況が徐々に厳しくなり、資金もセメントなどの資材も、防御陣地の専門家も不足していた。大山少佐は私財を投じてトーチカ構築の説明書も自ら書くなどし、苦心して作業を進めた。
根室市歴史と自然の資料館など…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル