北アルプスの玄関口、上高地(長野県松本市)周辺で、4月下旬から地震が続いている。新型コロナウイルス感染拡大で、ホテルや旅館、山小屋、キャンプ場など全ての施設が営業休止中。再開の準備にあたる地元関係者は、沈静化しない地震に不安を感じている。
先月29日、取材のため上高地を訪ねた。バスターミナルから徒歩約1時間の明神池への遊歩道では、地震の影響とみられる地割れ(幅約5センチ、長さ約10メートル)が1カ所あった。また、明神池手前では、ひと抱え以上もある巨大な落石が遊歩道をふさいでおり、「落石注意」の看板があった。
明神池では、地鳴りのような音が鳴り響いた。直後に足元が数秒間揺れ、湖面もわずかに波打った。気象庁のホームページを見ると、マグニチュードは2・7。地図上で震源を示すバツ印は上高地付近を示していた。観光名所の河童橋(かっぱばし)近くのホテルの従業員は「23日は余震も多く、雪崩が多発した」と話す。河童橋からは真っ白に雪化粧した穂高連峰が望め、谷筋には雪崩の跡が確認できた。
長野地方気象台によると、22日未明に震度3を観測して以降、5月1日正午までに県中部で計57回の揺れを観測。ほとんどの震源が上高地付近に集中し、最も大きな揺れは4月23日の震度4だった。
上高地周辺では1998年夏にも約3カ月間、震度1以上の揺れを200回以上観測。うち2回はマグニチュード5以上で、上高地の入り口、大正池付近を走行中のタクシーに落石が直撃するなどの被害があり、客足も落ち込んだという。今回の地震では、遊歩道に落石や地割れが何カ所もあり、上高地温泉ホテルでは26日に従業員らを避難のために下山させたという。
「山に囲まれているので水や電…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル