北朝鮮が28日に発射した弾道ミサイルは、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄が回避された後、初めてのケースとなった。北朝鮮がミサイル技術の高度化を進める中、発射の情報分析の重要性は増している。そのため、今回の発射についても日韓の防衛当局は情報交換を行う見通しで、協定継続の意義が改めて確認された。
河野太郎防衛相は28日夕、防衛省で記者団に、協定に基づくミサイル発射情報の韓国との情報交換について「対外的に公表していない」と言及を避けた上で、「日米、日韓、日米韓でしっかり連携して(対応に)当たる」と強調した。
発射から着弾までの初動では、日韓が情報交換して対応することは原則的になく、それぞれがレーダーなどで追尾する。とはいえ、「今後(の分析)では相手からもたらされる情報は互いに有益だ」(自衛隊幹部)という。
北朝鮮は平成29年11月を最後に休止していた弾道ミサイル発射を今年5月に再開。以降、今回で13回目を数える。その間、着弾前に再上昇する複雑な軌道を描くロシア製短距離弾道ミサイル「イスカンデル」類似型など新たな技術開発を進めている。ただ、GSOMIAに基づく情報交換で、日本は韓国が持つ発射地点に関する精密な情報を収集できるとされる。
また、核・ミサイル開発や拉致問題に関しては、韓国が得意とする脱北者などのヒューミント(人的情報収集)が役に立つ。
何より、協定は北朝鮮の核・ミサイル開発に対峙(たいじ)する日米韓の相互信頼関係の土台だ。防衛省制服組トップの山崎幸二統合幕僚長は、28日の記者会見で協定について「日本の防衛のため非常に意義がある。継続的に安定した運用を心掛けたい」と意義を強調した。(田中一世)
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