東京五輪への出場を目指すサーフィンのロシア代表チームが、北方領土の国後島で合宿を始めた。ロシアでは合宿を「わが国領内で歴史上初めて、サーフィンの五輪向け選手団の公式練習が始まった」(サハリン州のASテレビ)などと報道。海を挟んで隣接する北海道根室市では困惑の声が出ている。
ASテレビなどによると、合宿は6人の選手が参加し、今月14日まで続ける予定という。合宿に向け、国後島の太平洋岸で練習に適した場所を調査し、島北部の爺爺(ちゃちゃ)岳を望む海岸など4カ所が選ばれた。2日には、サハリン州の州都ユジノサハリンスクをロシアサーフィン連盟の幹部らが訪問。州当局者らと、国後島を世界のサーフィンの名所とする可能性などを協議したという。
一方、根室市では東京五輪終了後、卓球とバドミントンのロシア選手団を招いて歓迎行事を予定している。市は「国後島をロシア領として合宿するのは、実効支配の誇示につながりかねない」(北方四島との交流担当者)とし、日ロ交流への影響を懸念する。千島歯舞諸島居住者連盟の宮谷内亮一根室支部長(78)は、「北方領土では、スポーツは政治利用から離れ、ビザなし交流などに資する形で行うべきだ」と話している。(大野正美)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル