北朝鮮を43回訪れた写真家 「NG場所」の撮影、許された理由は

 隣国でありながら国交がなく「近くて遠い国」とも言われる朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)を43回訪れたフォトジャーナリスト、伊藤孝司さん(70)の写真展「平壌の人びと」が、大阪市生野区の旧辻本写真館で開かれている。広角レンズを使って至近距離から人びとの表情をとらえた写真など、ふだんあまり目にすることのない約100点が展示される。27日まで。

 三重県在住の伊藤さんが初めて北朝鮮を訪問したのは1992年。その後は大水害や食糧難と重なり取材許可が下りなかったが、98年からコロナ禍前の2019年10月までほぼ毎年2、3回訪問してきた。この間、北朝鮮は社会主義を掲げつつも金一族の3代が権力を継ぎ、核兵器開発や日本人拉致事件の発覚などで国際的な孤立が深まった。

 展示されるのは、首都平壌の地下鉄車内で娘をひざの上にのせてほほえむ母や、食堂に併設されたテイクアウトコーナーで調理するせわしげな店員、ビール祭りに集まった若者ら、「日常」にカメラを向けた写真だ。その多くは広角レンズを使い、被写体の1メートル以内に近づいて撮影した。「遠近感を強調することで、人物がおかれている状況を際立たせられる」という伊藤さんのこだわりの撮影方法だという。

 「昔はお年寄りにレンズを向けてものすごく怒られたが、最近はスマホの普及で写真を撮られることが当たり前になったせいか、拒否反応はほとんどなくなった」と伊藤さんは語る。

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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