北海道新幹線の札幌延伸に向けた工事が続く札樽トンネルで、掘削後に出る土の処分に関する説明会が28日、札幌市内で開かれた。トンネルは札幌市と小樽市を結ぶ。建設時に出る基準を上回る重金属が含まれる「要対策土」の処分で札幌市の複数の地区が受け入れ候補に挙げられている。
この日の説明会は、事業主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構と札幌市が、候補地の一つの市有地がある札幌市手稲区の手稲山口地区で開催。秋元克広市長も出席した。機構と市は今後、「地域協議会(仮称)」を設け、地域と意見交換する方針を示した。
要対策土の受け入れ地は正式決定されていないが、手稲山口地区では事前調査が行われている。機構は説明会で、受け入れ地では工事を今夏に着工し、秋ごろに土を搬入するスケジュールを示した。搬入は2027年ごろに完了する想定だという。
説明会では事前調査の結果も示され、大地震時の液状化リスクが確認されたが、盛り土を崩れない高さと勾配にしたり地盤改良を行ったりすることで安全性を確保できるとされた。二重の遮水シートによる対策土の封じ込めや、雨水は調整池を通して河川へ放流するなど、盛り土工法と周辺への環境対策を行うことも示された。
ただ、住民からは周辺の農作物への風評被害への懸念の声や、「山口地区ありきで話が進んでいないか」「これ以上山口地区を汚さないでほしい」など反発の声が相次いだ。会場の外では受け入れ反対のプラカードを掲げる周辺住民の姿もあった。説明会後、取材に応じた秋元市長は「今日の説明会で全てではなく、情報共有の場として地域協議会を提案、いろいろ詰めていけるのではないかと思う」と述べた。
要対策土の受け入れについては、札幌市内では手稲区の手稲山口地区のほか手稲区の金山地区、厚別区の山本地区も候補地とされているが、住民の反対が強く事前調査も行われていない。(芳垣文子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル