現場へ! ローカル線のあした①
山の中を縫うように走るレールの向こうに、小さな無人駅がみえてきた。
北海道小樽市にあるJR函館線の塩谷駅。4月末の休日、駅近くの公民館で住民に対する説明会があった。
小樽市の迫(はざま)俊哉市長(63)が切り出した。「鉄道の運行を続ければ将来に大きな負担を残す。100年以上も地域の生活を支えてきた鉄道を断念せざるを得なくなりました」
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今年10月、日本の鉄道は開業150周年を迎えます。しかし、各地のローカル線は存続の岐路に立っています。北海道の現場を訪ねました。
迫市長が「断念」としたのは、「山線」とよばれる函館線の小樽―長万部(おしゃまんべ)間約140キロの区間だ。北海道新幹線が2030年度に札幌まで延びると、並行して走る山線はJR北海道の経営から切り離される。
地元負担による第三セクター方式などで運行を続けるには財政負担が大きい。小樽など沿線9市町は3月、廃線・バス転換の受け入れを決めている。
この日、山あいにある塩谷地区であった2度の説明会には計約30人の住民が出席した。「住民の足をどう守るのか」「一番困るのはお年寄りだ」といった厳しい声が相次いだ。
山あいにある塩谷地区では…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル