高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場をめぐり、北海道の鈴木直道知事が21日、片岡春雄・寿都町長が意欲を示す候補地選定プロセスへの応募に反対する姿勢を鮮明にした。地元を含む周辺9漁協の代表者もこの日、片岡町長に抗議文を手渡した。町議会の賛否も二分しており、片岡町長は「9月」としていた判断時期を遅らせる可能性を示唆した。(伊沢健司、佐久間泰雄、松尾一郎、斎藤徹)
2年後のプロセスに「前倒し」反対表明、寿都町長を牽制
「寿都町が文献調査に正式に応募し概要調査に移行しようという場合は、手続きに従い反対の意見を述べていきたい」
知事はこの日の定例会見で、こう力を込めた。
拡大する記者会見で高レベル放射性廃棄物処分場についての見解を述べる鈴木直道知事=21日、札幌市中央区の北海道庁、松尾一郎撮影
最終処分場選定までには、3段階の調査が約20年かけて実施される。片岡町長は第1段階となる「文献調査」への応募に強い意欲を示しているが、特定放射性廃棄物最終処分法によると、知事にはこの段階で関与する機会はない。
第2段階の「概要調査」へと進むとき、知事は国に意見表明できる。知事が反対した場合、国は地元の意向を尊重して「次の段階に進まない」としており、事実上、プロセスを止めることができるとされている。
寿都町が文献調査に応募するかを正式に決めていない段階での「反対」表明は、北海道知事として寿都町を強く牽制(けんせい)した格好だ。
知事はその根拠として、核のごみの道内への持ち込みを「慎重に対処すべきであり、受け入れがたい」とする「特定放射性廃棄物に関する条例」(2000年)を挙げた。「寿都町を含め、すべての市町村にこの条例を順守して欲しいと考えている」と語った。
さらに、知事は国の最終処分場…
2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル