堺市中区の自宅で昨年11月に遺体で見つかった男性が生前、区役所内や区職員の面前で隣人の男から暴行を受けていたとされる事件で、市が10日、記者会見を開いた。西川明尚区長は「疑問の残る対応が一部あった」と述べ、組織的な判断が不十分だったという見解を示した。
大阪府警によると、男性は無職の唐田健也(たつや)さん(当時63)。隣人の楠本大樹容疑者(32)は昨年10月15日~11月中旬、区役所の相談室や自宅マンションの通路などで計11回、唐田さんの肩や脇腹付近を殴るなどした疑いがあり、今月4日に暴行容疑で逮捕された。楠本容疑者は「じゃれ合う程度だ」と容疑を否認しているという。
区役所内の2回を含め、堺市内の携帯電話会社の店内など計5回の暴行現場に職員が居合わせていた。楠本容疑者は、府警に「(唐田さんから)金の管理を任されていた」と説明。関係者によると、2人は生活保護を受給していたという。
市は、区役所内や区職員の面前で行われたとされる暴行行為について「いざこざの範囲と認識していた」と説明。西川区長は「担当職員は当初、暴行事案とは認識しておらず、記録も残さなかった。上司や警察に相談する必要性を検討すべきだった」とし、ケースワーカーら個人ではなく「組織として判断するようにしたい」と話した。
楠本容疑者は、唐田さんの遺体が見つかった直後の昨年11月21日午後、区役所の相談室で唐田さんの弟(62)を呼び出し、現金約11万7千円を脅し取った恐喝容疑でも12月に逮捕されている。この際も職員が同席していた。
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル