光墨祥吾 森下裕介
難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者(当時51)に対する嘱託殺人などの罪に問われた医師、大久保愉一(よしかず)被告(45)の裁判員裁判が22日、京都地裁であり、被告人質問が始まった。弁護側は、大久保被告が医師を目指したきっかけや、医大生時代のことから質問した。
大久保被告は自身の幼少期について、「体が弱く、小児科や整形外科、泌尿器科など多くの病院に通った」と説明。小学5年の頃、親戚の子が死産して医師を志すようになったとし、「地道に、へき地などで住民に喜んでもらえる医者になりたかった」と述べた。
医大生時代には、大学の教育が「学生のモチベーションをくじく」と疑問を持ち、学生向けの教材作りやイベントを開催する団体を仲間と立ち上げたと振り返った。
大久保被告は2019年11月、知人の元医師、山本直樹被告(46)と共謀し、女性の依頼を受け、京都市内の女性のマンションを訪問。胃に直接栄養を送る「胃ろう」に薬物を注入し、急性薬物中毒で殺害したとして起訴された。検察側は、大久保被告が医療行為に見せかけて障害者らを殺害することに強い関心を持っていたとし、医療知識を悪用して犯行に及んだと主張している。
一方、大久保被告は初公判で「(女性の)願いをかなえるために行った」と説明。弁護側は無罪を主張し、女性の願いを実現した行為に嘱託殺人罪を適用することは、「女性に生きることを強制することになり、個人の尊重を定めた憲法13条に違反する」と訴えた。
大久保被告は、11年3月に山本被告の父(当時77)を、山本被告らと共謀して殺害したとして殺人罪にも問われ、「私はやっておりません」と起訴内容を否認している。(光墨祥吾、森下裕介)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment