日常的にたんの吸引などが必要なため通学バスを利用できない医療的ケア児全員について、大阪府の吉村洋文知事は1日、看護師らが同乗して車両による通学を可能にする支援制度を令和2(2020)年度から実施する方針を明らかにした。
府は現在、看護師が介護タクシーなどに同乗して通学に付き添う仕組みを試行しており、3年度の実施を目指していたが、支援の重要度を考慮し、これを前倒しする。同日の府議会本会議で吉村知事が「介護職員については医療的ケアの一部しか実施できないなど制約があるがその活用を検討する」と答弁した。
たん吸引などの医療的ケアは家族や看護師らが行うことになっている。このため府では、車の走行中にたんの吸引などが必要となる医療的ケア児のバス通学について、安全面で不安があるとして原則禁止としている。
これにより、府内の支援学校では現在、医療的ケア児約490人のうち、約160人がスクールバスに乗ることができていない。約160人のうち約130人は保護者の送迎で登下校しているが、残りは送迎手段がないため学校に通うことができず、教諭による訪問教育を受けている。
府はこうした状況を改善するため、看護師らを車両に同乗させる通学支援を医療的ケア児全員に拡充する方針だ。
医療的ケア児の通学支援をめぐっては、大阪市が平成27年度から、気管切開のある児童生徒を対象に看護師がタクシーに同乗する制度を始め、今年度は約30人が利用。東京都も昨年度から看護師が同乗する専用通学車両の運用を開始している。
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