千葉県市原市で1月に生後10カ月の女児が死亡し、食事を与えなかったとして母親(23)が保護責任者遺棄の疑いで今月逮捕された事件を巡り、小出譲治市長は12日、「もう一歩踏み込めば幼い命を救えたと悔やまれる」と市の対応を謝罪した。事件後、県から「児童福祉の観点から一切の情報を公開しないよう助言があった」ことも明かした。
亡くなったのは、小西紗花(すずか)ちゃん。市によると、保健師が昨年4月に健康状態を確認して以降、乳児健診や予防接種を受けていなかったが、市は約9カ月間、目視で安否確認をしていなかった。きょうだいの通う幼稚園から「紗花ちゃんの姿を見ない」と市に通報があったが、児童相談所に伝えていなかった。
小出市長は事件後初めて記者会見し、「(市の対応に)足りなかったことが多々出てきて、不適切と言わざるを得ない。職員の危機意識が欠如していた」と述べた。県の担当部門に情報を公開しないよう助言されたが、「市民の理解が得られないと思い、県と協議して可能な限り出すことにした」と説明した。
県によると、千葉県野田市で昨年1月に小学4年生の栗原心愛(みあ)さん(当時10)が虐待死した事件の後、児相に助言する立場の弁護士から「個人情報の取り扱いに注意するべきだ」などと指摘を受けた。それを受け、県は新たに子どもの虐待死事件が発生した場合、一切情報を公表しない方針を決めたという。
今回の事件では、1月3~25日ごろ、紗花ちゃんが低栄養状態で衰弱しているのを知りながら十分な食事を与えず、放置したとして、母親が今月3日に逮捕された。紗花ちゃんは1月25日に死亡が確認された。(上田雅文)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル