2019年9月、記録的な暴風となった台風15号は、首都圏にも大きな被害をもたらした。
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かつて木材の産地として知られた千葉県東部の山武市では、放置された杉の木が強風で次々と倒れ、今もその傷跡は残ったままだ。
アクセンチュアのITコンサルタントだった磨家浩之さん(43)は10年ほど前から、山武市で農業をしている。磨家さんや近所の人たちの畑も、大きな被害を受けた。
復旧作業に携わる中で、磨家さんが改めて実感したのは、高齢化による地域コミュニティの衰退だ。日常的に杉林の手入れができる世帯はほとんどなく、倒木を片付ける人の確保も難しい。
コミュニティの維持を仕事にできないか。磨家さんは大きな災害をきっかけに、こう考えるようになった。
片付けられず放置される杉林
初めて磨家さんを訪ねたのは、台風15号から2カ月が過ぎた2019年11月中旬のことだった。
待ち合わせ場所のJR総武本線の八街駅(千葉県八街市)は、東京駅から特急で1時間ほど。落花生の産地として知られる八街市周辺は、都内で働く人にとっては通勤圏に入る。
磨家さんは、八街駅から車で15分ほど離れた山武市の実門地区で、ニンジンやコメを生産している。
実門地区には40世帯ほどが暮らす。農業に従事している人の多くは、60歳を超えているという。
「高齢者が多くて、杉の木が倒れてきても、なかなか片付けることもできない」
軽トラックのハンドルを握りながら、磨家さんがため息をついた。地域を回ると、あちこちの林で杉の木が倒れたままになっていた。
この地域一帯はかつて、山武杉(さんぶすぎ)の産地だった。千葉県は、幹がまっすぐで太さが均一なブランド材として山武杉をPRしている。山武杉は戦後、品質の高さから高値で取引され、地域の人たちは競うように杉を植えた。
台風で倒れた杉のほとんどが、幹が腐る病気にかかっていた。
外国産の木材の流通が広がり、木材価格が下落。地域の高齢化や病害が拡大したことも重なり、杉林の多くは放置されるようになった。
放置され、幹が弱った木がいっせいに倒れたのが、昨秋の台風15号だった。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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