視覚障害を持つあん摩マッサージ指圧師の生計が脅かされかねないため、障害のない人が資格を取るための学校の設立は認めない――。こんなルールを定めた半世紀以上前の法律が、「職業選択の自由」を保障する憲法に違反するかどうかが東京地裁で争いになっている。注目の判決は16日。なぜこんな争いが起きたのか。
訴えを起こしたのは、学校法人・平成医療学園(大阪市)。2016年、運営する横浜医療専門学校で視覚障害がない人がマッサージ師の国家資格を取るための養成コースの新設を国に申請したが、認められなかった。この処分の取り消しを求めて同年、提訴した。
国が処分の根拠としたのは、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」(あはき師法)だ。東京五輪が開かれた1964(昭和39)年の改正法で、国は「視覚障害者のあん摩マッサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため、当分の間は、視覚障害者以外の人の学校の設立を制限できる」とした。はり師、きゅう師に同様の制限はない。
同学園は、この制限がマッサージ師の資格を取りたい人と、養成コースを作りたい学校側の「職業選択の自由」をいずれも制限していると指摘。法改正から55年経過し、障害者雇用促進法などの法整備が進んで視覚障害者を取りまく雇用環境が当時と大きく変わっていると主張している。
「視覚障害者の方々と共存したいと思っている。いつかわかってもらえるはずだ」。同学園の岸野雅方(まさみ)理事長(71)がコースの新設に乗り出したのは、資格のないマッサージが横行していることへの危機感からだという。「人の身体を触って改善効果をあげようとする以上は、資格を持つべきだ。だが国は無資格者を放置してきた」
「我々の置かれている立場は厳しい」。視覚障害者の人たちは判決の行方に気をもんでいます。
厚生労働省によると、この法改…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル