2021年12月14日。国会では衆院予算委が開かれていた。岸田文雄首相が幾度となく答弁に立ち、新型コロナウイルス対策や経済政策について熱弁を振るっていた。
同じ頃、東京・霞が関の合同庁舎2号館の14階。記者2人が4カ月前と同じ場所にいた。新型コロナウイルス対策のための、手作り感のある透明の仕切りの向こう側には、国土交通省建設経済統計調査室の室長らがいた。
記者2人はこの日で取材を仕上げるつもりで臨んでいた。
取材後に喫茶店へ、高ぶる気持ちをコーヒーで
「建設工事受注動態統計」の集計のために、建設業者が受注実績を毎月記入する「調査票」を回収した後、無断で実績を書き換えていたことは、同室は過去の取材にすでに認めていた。しかし、さらに最低限、聞いておかねばならない点がまだいくつも残っていた。
一つが、厚生労働省所管の「毎月勤労統計」をめぐる不正を受けて19年に実施された基幹統計の一斉点検の際、統計データの書き換え行為がなぜ表沙汰にならぬまま、以降も継続されてしまっていたのか、という点だった。
記者「一斉点検の際、書きかえをやめないといけないという認識はなかったということか」
担当「そうですね」
記者「まずいと思いながら報告しなかったわけではないと」
室長「みたいですね」
担当「ちょっとそこの記録は残っていない」
釈然としないが、取材時間は限られている。話題を次に進めた。
朝日新聞が昨年12月に報じた国土交通省による統計不正のスクープは、結実するまでに半年の時間を要しました。あまり明かされることがない新聞記者の「調査報道」の裏側を、ぎりぎりまで公開します。連載の4回目です。
約2年前の時点で、会計検査…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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