半沢直樹も見た整備のプライド 池井戸潤がJALに迫る

池井戸潤が撮る 日本の工場

 「半沢直樹」シリーズなどで人気の作家・池井戸潤さんが仕事の現場に迫る企画が、朝日新聞土曜別刷り「be」で連載中です。第4回は東京・羽田空港にある日本航空の整備工場。空の安全を守る現場を自ら撮影し、その本質を描き出します。デジタル版では池井戸さんが撮影した写真をたっぷりご覧いただけます。

 空の安全を守るこの整備工場は、世の航空機ファン垂涎(すいぜん)の聖地である。

 7年ぶりの訪問であった。以前お邪魔したのは『半沢直樹 銀翼のイカロス』を雑誌連載していた頃。小説を読まれたJALの広報担当者さんから、取材にいらっしゃいませんか、とお声がけをいただいたのがきっかけだ。物語の終盤、半沢直樹がここに来る場面が書けたのはそのときの取材のおかげである。

 ハンガーと呼ばれるふたつの作業エリアでは格納された航空機が整備の真っ最中だった。機体をすっぽり覆うように足場が組まれた現場では、操縦席の窓を保護するフィルムを装着する作業をしている。なんとこの窓、一枚数百万円以上もするらしい。貧乏性の私など、いったい何枚あるのか数えてしまう。

 この日の案内役は、広報担当の吉田達央さん。整備士出身という変わり種だ。

 機体ごとの特長、エンジンの構造や安全面への配慮など、説明の節々に航空機への愛情と情熱を感じる。好きなことを仕事にしている人の充実感がみなぎっていた。

 途中、ボーイング787が非常用風力発電機(ラムエア・タービン。以下RAT)をテスト稼働させる準備をしていた。

 「あっ、あれが動くところはめったに見られないんです」

 整備士たちに話をきいて戻って…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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