邪馬台国の女王卑弥呼(ひみこ)の墓との説がある奈良県桜井市の箸墓(はしはか)古墳=3世紀、全長約280メートル=について、橿原考古学研究所と名古屋大学の研究チームは9日、物質を透過する「ミューオン」と呼ばれる素粒子を利用し、内部の構造を解明するための科学調査を実施したと発表した。調査結果は来年度に公表する予定。
ミューオンは宇宙線から生じる素粒子の一種。X線よりも高い透過力を持ち、厚さ1キロメートルの岩盤も通過する一方、高密度の物質に当たると透過量が減少する。そのため透過量を計測すれば物質などの内部構造を推定できるといい、研究チームは平成30年、ミューオンで春日古墳(同県斑鳩町)に石室とみられる空間があることを突き止めている。
調査は同年12月から箸墓古墳の前方部と後円部のそばに、墳丘を通過したミューオンを捉える2基の検出装置を設置して実施。今年4月までの予定で、ミューオンの痕跡を解析し、石室などの存在を確認する作業が続けられる。
箸墓古墳は宮内庁が管理しており、発掘調査はできない。橿考研が24年に実施した3次元航空レーザー計測で、後円部の最上段に直径約39メートル、高さ約4・7メートルの特殊な円丘があることが分かっている。
橿考研の西藤清秀・技術アドバイザーは「今回の調査で、被葬者が埋葬された竪穴式石室と推定される空間の存在が確認できる可能性がある」としている。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース