川本裕司
山口県周防大島町の大島商船高専で2016年5月、1年生の男子学生(当時15)が自殺し、第三者委員会が今月、クラスメートからのいじめが原因とする調査報告書を公表したのを受け、高専は24日、同級生の加害学生9人を戒告にすることを明らかにした。加害学生が在籍する商船学科はこの日が卒業式で、高専は卒業後も9人を継続的に指導していくとしている。
調査報告書の公表後、遺族が加害学生と教職員の処分、謝罪を求める申入書を高専に提出。直接的関与のあった2人を退学、間接的関与のあった少なくとも7人に停学を求めた。高専は、教職員については退職者を含めて処分する方向で検討している。
戒告は、学校教育法施行規則に基づく退学、停学、訓告の懲戒処分には当たらない。高専の古荘(ふるしょう)雅生校長は17日の記者会見で、「処分ではなく学校として指導し、卒業させる」と説明していた。今回の戒告にあたり、古荘校長は遺族に対し、「本来ならば停学処分などを課し、指導していく必要があった。だが、事実認定まで5年以上経って指導機会を失ってしまった」と説明している。
処分の連絡を受けた遺族は取材に対し、「戒告は一定の意味があるものと受け止めているが、謝罪はされておらず、卒業後の指導内容や方法なども分からない」と話している。
男子生徒は16年5月21日未明、校舎から飛び降りて亡くなった。高専側は当初、同級生への聞き取りなどから遺族に「いじめはなかった」と説明していた。
高専の第三者調査委員会は今月17日、男子学生に対する22件のいじめを認定する調査報告書を公表した。(川本裕司)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル