【記者コラム】
卒業式を同じ日に二度三度と開く小学校があるなんて知らなかった。「いろんな事情を抱えた子がいますからね」。福岡市のある校長は、珍しい話ではないと明かす。
例えば不登校だった子は、事前練習に参加していないので式典の流れが分からない。ガイド役の教員を用意して、「途中からでもおいで」と声を掛けるが、そもそも人前に出られない子もいる。そんなときは同じ会場、同じ式次、教員全員がそろって、その子だけのための卒業式を開くのだという。
正直に言うと、教育現場の長時間労働が問題となる中で「そこまでしなくても」とも思う。だが、教員たちが多様な子どもに全力で向き合おうとしているのは確かだ。
「いろんな事情があったとしても、その子が悪いわけじゃないんです」と校長。そんなふうに見守られ、送り出された記憶は、その子を生涯支えてくれるだろう。胸が熱くなった。 (山田育代)
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