南国のばら園、日本一めざして20年 不利な気候でも個性を磨く

 5月上旬、春のばら祭りが開かれていた「かのやばら園」(鹿児島県鹿屋市)はにぎわっていた。つるバラに覆われたトンネルは人気の「映え」スポット。カップルや家族連れが楽しそうに写真を撮っていた。

 「つるバラを目的に来る人が多いんです」

 スタッフが自慢するのが、春にしか見ることができないつるバラトンネルだ。長さ220メートル。「国内でもっと距離が長いところはありますが、アーチ部分の面積は日本一です」と胸を張る。幅6メートル、高さ3メートル。内からだけでなく、つるバラに覆われたトンネル外側の様子を見下ろせるのも、ここならではだ。

 もう一つの売りが、色ごとに植えられたカラーガーデン。この地に合った品種が選抜され、「パフォーマンス能力が高いバラ」(関係者)が並ぶ。春のリニューアルでは、新たに展望台ができた。カラーガーデンはその真下に広がる。

 バラの数は1500種類、3万5千株。斜面を利用した植栽が特徴で、いろいろな角度でバラを楽しめる。遠くの山も組み込んだ借景も売りの一つだ。

 ばら祭りは今月4日に終わり、野外で見られるバラの花はわずかになったが、祭り期間中はコロナ禍前の9割に近づく約4万人が訪れた。

 ばら園を運営するのは鹿屋市だ。いまや国内有数規模のバラ園として愛好家に知られる存在だが、1993年の開園当初は市が管理する霧島ケ丘公園の一部のバラ庭園だった。

ばら園オリジナルの2品種、販売をスタート

 「日本一のばら園」をめざし、南国の自治体職員やガーデナーは個性を磨くことに注力し、いまでは大隅半島を代表する観光スポットになりました。

 転機は10年後。「どこにも…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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