鈴木智之
大阪府高石市を走る南海電鉄高師浜(たかしのはま)線が高架化工事のため、22日から約3年の休止期間に入った。全長約1・5キロ、乗り通しても3分で行き止まりになる「盲腸線」。高架化のためにこれほど長く鉄道路線が運休するのは珍しい。代行バスが走り始めたが、「5倍」の時間がかかる。
南海本線羽衣駅と高師浜駅を結ぶ高師浜線は大正期の1919年に全通した。唯一の途中駅で、難読駅名で知られる伽羅橋(きゃらばし)駅と高師浜駅の間は高架化しており、今回の工事区間は伽羅橋駅までの1キロだ。
約3年間もの休止を決断した理由について、南海の広報担当者は「仮の線路をつくると時間がかかる。工事を早く完了させることと、踏切を早くなくすことが狙い」と説明する。
代行バスは羽衣と高師浜間を約15分かけて走る。1時間に3~4本の高師浜線の本数に準じるが、通勤時間帯には増便する。22日に利用した50代の会社員女性は「市内でバスに乗るのは初めてで変な感じ。時間がかかるけれど、慣れるでしょうね」と話していた。
一方、この日、高石市内を貫く南海本線の高石駅周辺から羽衣駅周辺まで3・1キロの上り線高架化が完成した。下り線は2016年に高架化されている。高石駅では午前5時、上り始発列車に合わせて出発式があり、関係者がテープカットした。阪口伸六市長は取材に「年月をかけ、多くの人の努力があって、本日を迎えた。南海電鉄と一緒に沿線を活性化していきたい」と話した。
これらは大阪府と同市、南海電鉄が1997年から取り組む連続立体交差事業で、「開かずの踏切」といわれた本線の踏切を中心に計13カ所の踏切がなくなった。高師浜線の高架化を含めた事業費は約717億円。(鈴木智之)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment