伊藤隆太郎
福岡市博多区のJR博多駅で5日深夜から6日早朝まで、7時間にわたり大がかりな線路の付け替え工事が行われた。線路をまたいで上空に浮くように12階建てビルを建てる難工事「博多駅空中都市プロジェクト」の一環。人海戦術をとり、限られた時間内にビル建設の支障となるレールやまくら木を一気に撤去し、信号系統も切り替えた。
JR九州は深夜や早朝の列車33本を運休し、作業員ら300人がかりで工事に臨んだ。「博多駅に新たなにぎわい空間を生み出すため、安全に工事を進める」と大倉一範・博多駅工事事務所長。ビルを支える柱を約8~18メートルの間隔で立てるため、これまでの線路や分岐器を移設するなどしてスペースを確保した。
空中都市プロジェクトの新ビルは、現在ある10階建ての駅ビル「JR博多シティ」より高く、駅周辺の新しいランドマークを目指す。延べ床面積は5万平方メートル。ホテルやオフィス、商業施設が入り、完成は2028年末の予定。駅の東西の「博多口」「筑紫口」を結ぶ新たな通路と広場にもなる。
この工事で撤去された設備のなかには「シングルスリップスイッチ」と呼ばれる珍しいタイプの分岐器もあった。JR九州で唯一だったこともあり、熱心な鉄道ファンも遠くから作業を見守った。(伊藤隆太郎)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル