卵を隠して死んだジョロウグモ、自身を重ねた 10年追い映像作品に

 岡山市の写真家、難波由城雄さん(75)はジョロウグモの一生を10年がかりで追った映像作品で今春、第64回科学技術映像祭の文部科学大臣賞を受けた。小学校や公民館などを回って受賞作の上映をし、子どもたちに前向きな思考の大切さと、「共感」が人生を切り開いた経験を伝えている。

 岡山県新見市の農家に、8人きょうだいの7番目として生まれた。小学校入学直後の身体測定で左目の視力がないことを知った。生まれつきだった。「みんなが持たない秘密を持ったようで、わくわくした」と笑う。

 大阪の大学を卒業し、衣料問屋に勤めて2年たったころ、婿養子の話が舞い込んだ。相手は、岡山後楽園の外苑(がいえん)で御庭焼の窯元と土産物店を兼ねていた「残夢軒」の経営者の次女、康子さん(74)。ひかれ合って結ばれ、実家の小林姓から難波姓に変わった。

産着でくるむように、再び糸を

 その翌年、1973年に長女を授かり、子育てに追われた。

 晩秋、店の中庭のモミジの木に巣を張っていたジョロウグモがお尻から糸を出し始めたのを見つけた。数時間たった深夜には、粘液に包まれた赤い卵を産み始めた。

 「糸で作ったふわふわのシー…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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