厚労省の申請書行方不明、発熱外来補助金でも? 長崎の診療所が提訴

 医療機関の新型コロナ対策費を支援する補助金をめぐり厚生労働省に郵送で届いたはずの申請書類が行方不明になるケースが相次いでいる問題で、別の補助金でも同じことが起きている疑いがあることがわかった。この疑いを追及するとして、長崎市内科医院が4日までに、約500万円の損害賠償を国に求める訴訟を長崎地裁に起こした。

「あてにしているのに不手際が多い」

 提訴したのは、長崎市の本田内科医院。3月に受け取るはずだった補助金を11月になっても受け取れず、厚労省が大量の申請書類をさばききれなくなっている可能性を疑っている。院長の本田孝也医師は「コロナによる減収で医療機関も厳しい。補助金をあてにしているが、事務の不手際が多く、それを隠そうとする姿勢が許せない」と話す。

 問題になっているのは、一見、わかりにくい新型コロナインフルエンザ、どちらの患者にも対応する発熱患者専用の外来診察室を設けた医療機関への補助金だ。診察室を設けても患者が来なかったら1日最大20人分まで、1人あたり約1万4千円の支援が出る。

3回に分けて受け取るはずが・・・

 本田医師によると、この補助金を昨年10月~今年3月の実績に応じ、3回に分けて受け取るはずだった。

 1回目は今年1月、昨年10月時点の見込み額の半額180万円を受け取った。

 2回目は、インフルが予想より流行しなかったため、見込み額を1月末に修正。今年3月、既払い分との差額約290万円の請求書を厚労省に郵送した。厚労省の担当者から3月末に振り込むとのメールも受け取ったのに、いまだに振り込みがないという。

 3回目は最終実績を踏まえ、2回目の請求からさらに約67万円増えたとの報告書を4月に郵送した。

「報告書が出ていないのでは」と厚労省

 音沙汰がないため、本田医師が厚労省に確認すると、担当者に「実績報告書が出ていないからではないか」と言われたという。

 医療機関向けの補助金申請をめぐっては、新型コロナ対策費を支援する別の2020年度の補助金で、厚労省が郵送で10万件超の申請書類を受け取った結果、一部の行方がわからなくなり、支払いが滞っていることが明らかになっている。

「控えも、郵便局の配達証明もある」

 本田医師は「報告書は控えがあり、郵便局の配達証明もある。長崎県だけでも同様の未払いを10件近く確認しており、他県にもあると聞く」と話す。

 補助金を所管する厚労省結核感染症課は「訴状が届いていないので答えることができない」としている。松浦新

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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