厚生年金の適用拡大を柱とする年金制度改革関連法案は14日の衆院本会議で趣旨説明と安倍晋三首相が入った質疑が行われ、審議入りした。法案は、政府の「全世代型社会保障」を進める一環として提出され、首相は「支え手を増やし、年金制度全体の安定性を高めることで、低所得者を含めた将来の年金水準の確保につなげる」と述べた。
パートら短時間労働者の厚生年金の加入要件について、現行は従業員501人以上の企業としているが、令和4年10月に101人以上、6年10月に51人以上に2段階で引き下げる。政府の試算では、51人以上の企業が対象になると、新たに65万人が加入する。制度の担い手確保とともに、パートらが将来受け取る年金額を底上げする狙いがある。
厚生年金の保険料は労使折半のため、企業の保険料負担は増える。政府はこの企業規模要件の撤廃を一時検討したが、中小企業の反発もあり見送った。ただ、首相は本会議で「最終的に撤廃すべきものと考えている」と重ねて強調した。
高齢者の就労意欲を促す制度改正も行う。公的年金の受け取り開始は65歳が基本で、現在は60~70歳までの間で選択できる。この上限を75歳に引き上げる。65歳に受け取りを開始する人に比べ、75歳からだと毎月の年金額が84%増える。4年4月に開始する。
このほか、一定以上の収入がある高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金」の対象を縮小する。60代前半の減額基準を現行の「月収28万円超」から、4年4月に65歳以上と同じ「月収47万円超」に引き上げる。
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