東京電力福島第一原発事故をめぐり、国と東電を相手に、福島県南相馬市小高区の住民587人が約129億円、鹿島区の住民313人が約20億円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決が14日、福島地裁(小川理佳裁判長)でそれぞれ言い渡された。判決はいずれも国の責任を否定した。東電に命じた賠償額も、すでにある基準を超えなかった。
国の責任について、福島地裁は、津波地震が到来する可能性を示した、国の地震予測「長期評価」(2002年)の信頼性を否定した。その理由として、長期評価に基づき、経済産業相が安全対策や原発停止などの権限を行使するには「精度と確度を備えた知見と認めるには困難」とした。
賠償額、国や東電の基準超えず
仮に経産相が長期評価を前提に権限を行使したとしても、「津波対策は防潮堤設置が基本であり、水密化や安全設備の高所設置などの知見が通用性を有していたとは認められない」と指摘。防潮堤を設置したとしても、「実際に来た津波は試算とは大きく異なり、原発が電源喪失に陥り、事故が発生していたといわざるを得ない」と結論づけた。
同種の訴訟をめぐっては、昨年6月に先行した4訴訟について、最高裁第二小法廷が国の責任を否定したほか、仙台高裁は今月10日、いわき市民が起こした訴訟でも否定していた。
記事の後半では、原告や弁護士の判決を受けての感想を紹介しています。
一方、東電に命じた賠償額(弁護士費用を含む慰謝料)は、小高区の住民502人に計約15億2900万円、鹿島区の住民269人に計約2960万円だった。1人あたりの慰謝料は、小高区の住民へは最大280万円、鹿島区の住民へは一律10万円と算定した。
国の原子力損害賠償紛争審査…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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